LCAは元々、製品やサービスを対象として実施するものでしたが、10年ほど前から、製品やサービスの枠を超え、企業や都市、国といった組織単位でも実施する取り組みが活発になってきました。例えば、「企業のSCOPE 3」はGHGプロトコルに従って企業活動によるGHG排出量を算定する場合に、バリューチェーン全体(自社工場内及びその電力の調達によるGHGを除く)を示す用語ですが、CDP(Carbon Disclosure Project)に採用されるなど、ある規模以上の企業にとっては、一般的な用語となってきています。
また、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)では、財務に影響のある、気候変動に関連するリスク・機会の把握し、それらへの対応をどう経営戦略に織り込んでいくのかといった情報の開示を推奨しており、ESG投資と深く結びついていることから、組織の活動(本業)や対策による環境影響をバリューチェーンにおいて把握することは益々重要になっています。
実務的には「組織のLCA」の算定は、企業の直接的な諸活動及び、企業と関わりのある製品の使用シナリオ、廃棄シナリオへLCIプロセスを連結、積算し、それらの影響を分類していくことになります。その際、活動量をLCIデータベース内のどのプロセスへ割り当てるか等、LCIデータベースの各プロセスに関する知識が必要となります。
また、実際の企業活動のリスク・機会といった視点からは、気候変動だけが唯一の環境リスクではありません。当社では、GHG評価にとどまらず、大気汚染、水、土地、鉱物資源、化石資源といった広範な環境影響をグローバルに評価ができるLIME3 を適用した「組織のLCA」の実施や、ソーシャル・ホットスポット・データベースを用いた社会リスクの算出といった、企業のマテリアリティ評価に重要なインプットとなる定量情報の算出を承っております。